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解体業界に
革新をもたらした
ZX1000K

ZX1000Kが、解体業界の流れを変え、スキルを大幅にアップさせたと思っております。

株式会社フジムラ
代表取締役会長兼社長 藤村一人

大規模で足場の荒い解体現場でも柔軟に対応できるマルチブーム型解体仕様機ZX1000K。解体業界の時流の波をいち早く捉え、現場のニーズに応えるZX1000Kの開発に日立建機を突き動かしたのが株式会社フジムラの代表取締役会長兼社長・藤村一人氏だ。ゴルフ施設の鉄柱撤去、競技場の解体工事など、印象深い現場を振り返りながら、 ZX1000Kとの歩みを総括していただいた。

株式会社フジムラと日立建機の出会い

当社は全て他メーカーを保有しておりました。
平成6~7年頃より、当時販売営業だった久永卓三さんが、解体重機を売り込みに営業に来てくれたのが、日立建機とのお取引のきっかけです。平成10年7月着工の千葉県の大型工場解体工事を行うために、EX300のハイリフト解体機を購入しました。そこから4年の間に日立建機製の重機を10台くらい導入致しました。当時のオペレータから、日立建機の重機は他社より断然乗りやすいという声が上がっていました。それから2年後の平成12年、ZX1000Kの開発の要望を出しました。

革新的なマルチブームを持つZX1000K

従来のZX800をモデルに、建物の上物から基礎まで「1台3役」で壊すことができるマルチブーム型重機を要望したのが始まりです。強固な建物から基礎まで、3通りのブームを装着でき1台で解体できるような重機を望んでいたのです。
また、特にこだわりたかったのは足回りです。他社でも40mブームの機械はありましたが、クローラクレーンの足回りでした。その場合、使用する前に整地し鉄板を敷いて真っ平らな土地でないと使用できないデメリットがあります。その点、油圧ショベルの足回りだと荒地でも作業をすることができますから、あくまでも油圧ショベルの足回りにこだわりました。そのようなマルチブーム型重機は将来、解体業界に必ず必要で役に立つ、そしてコストも軽減できるという思いからの要望でした。
日立建機営業の久永卓三さん・開発担当の石井基寛さんからの当初の回答は、上記の3通りのブームの装着はクローラクレーンの足回りなら可能、かつアーム先端高さは36m~38mまでが限界ですと言うことでした。それに対し、油圧ショベルの足回りで、アーム先端高さは40mとして欲しいと、現場ニーズに基づく当社要望を再度お伝えしました。
「1台3役」に対応できる重機にこだわりたかったのです。久永さん・石井さんには無理難題をぶつけましたし、日立建機の土浦の工場へ何度も打合せに行きました。厳しいやり取りもありましたが、必ず日立建機は新しい重機を開発してくれると思っていました。 そしてついに、ZX1000Kの1号機が完成し、平成14年2月に納車されました。

厳しい現場をZX1000Kとともに

神奈川県の事業施設解体工事の大型現場では、ZX1000Kを4台使用しました。大きい基礎を時間をかけずに壊し、大きいままで持ち運ぶこともでき、まさにZX1000Kのパワーと安定性がいかんなく発揮され、重機が密集したエリアの中でも、効率よく作業を進めることができました。
また競技場の解体工事では、ZX1000K、ZX800も含め、ZX800以上の大型機械を10台使用し、中型機械も含めると計22台の日立建機の解体機械を使用致しました。
ZX1000Kは、4台使用しましたが、ZX1000K無しでは厳しい工期に間に合わなかったと思います。ZX1000Kの素晴らしさを実感した現場でした。 またゴルフ施設の鉄柱撤去工事では、ZX1000K-5Bの新車を導入しています。3型のZX1000Kよりクローラー幅が広くなり、大幅に安定感が増しました。 以前のZX1000Kより一層安全に作業を行うことができました。

ZX1000Kの開発が解体業界に
革命をもたらした

ZX1000Kが、解体業界に革命をもたらしたと思っております。当初、1号機のZX1000Kを製造しているとき、ツーピースブームに装着する適切な大型アタッチメントはありませんでした。
アタッチメント業者へ、私共フジムラが要望し、当時一番大きかった大割圧砕機を独自に制作頂きました。これを機に、ZX1000Kが進化していく過程で、より大きなアタッチメントも開発され、大割圧砕機、また鉄骨カッター等も進化していったと思っております。
ZX1000Kは、解体業界の流れを変え、解体スキルを大幅にアップさせた解体専用機だと思っております。
私が捉えた解体業界の流れ、現場のニーズに基づく当社の要望に応えて作られた機械が日本全国に広まったことは大変うれしく思っております。
当社はZX1000Kをこれまでに通算7台導入しており、現在は2022年3月末に納車されました新車を含めZX1000Kは4台保有しています。ZX1000Kは5型での生産を終了するとの事ですが、日立建機日本さんにはこれからも大変期待もしておりますし、ますます頑張って欲しいと思っております。

藤村会長の要望があったからこそ生まれた、高さと安全性、敏捷性を兼ね備えた画期的なZX1000K

応用開発部
石井基寛

応用開発部企画グループの石井氏は、ZX1000Kの開発当時、設計に携わった重要人物。当時の技術では不可能だと思われていた40mのアーム先端高さを持つマルチブーム仕様機の開発は、解体事業に革新をもたらした。ここではプロジェクトのきっかけについて改めて話を聞いた。

ZX1000Kのはじまり

入社以降、30年近く応用開発製品に携わってきた石井にとっても、ZX1000Kの開発は特に印象深いプロジェクトだった。
「応用開発の仕事を始めた当初、解体は木造住宅がメインでしたが、20年前ぐらいから高度成長期に建てた高層ビルの解体案件が倍増し、高層ビルの解体に対応できる解体重機の注文が増えました。その中でも特に株式会社フジムラ様の藤村会長から、とにかく群を抜いた高さのものが欲しいという要望をいただき、それに応える形で日立建機が開発したのがアーム先端高さ40mという従来の解体機の限界に挑戦したZX1000Kです」

難航したZX1000K開発

藤村会長の要望からスタートしたZX1000Kの設計だが、完成までの道のりは険しかった。
「フロントを長くする事で、転倒するリスクが高まることを避けようと、安定性が高い移動式クレーンの脚回りを採用しようとしました。しかしその仕様では解体現場での使用場所が限られてしまう、普通のショベルと同じようにどこでも走れるような機械にして欲しい、と要望がありました。その課題をクリアし、会長に仕様機の説明に行くと今度はアーム先端高さの設定を変えたいと。『(当初の要望だった)36mが可能なら40mも可能なはず』と返されてしまい、これはもう機械自体を変えないといけないと。そこで85tショベルをベースに設計していたのを白紙に戻し、解体専用機を作る方向に舵を切り替えてようやくたどり着いたのがZX1000Kでした」
最後に改めてZX1000Kへの思いを振り返ってもらった。
「熱意を持ってこの機械を作ってほしいと言われるお客様と、それを使う現場で作業されている皆さんの声を聞きながら、私たちも思いを一つにしたからこそ日立建機はZX1000Kを開発できたと思っています。開発の過程で私たち設計のあり方そのものを勉強させてもらった機械かなという風に思いますね」

解体業界に革新をもたらした
ZX1000Kの開発

販売営業(当時)
久永卓三

完成後、全国の解体業者様から問い合わせが殺到。当初の売上予想は多くはなかったが、ヒット商品となったZX1000K。プロジェクトの中心的な役割を果たしたキーマン、久永氏に開発時のエピソードや納車式の思い出、ZX1000Kへの想いを紐解いてもらった。

はじまりは会長の言葉から

「ZX1000Kの開発は思い出深い仕事です。きっかけは平成12年ぐらいに、私が担当させて頂いていたお客様である、株式会社フジムラの藤村会長から高い建物を壊すいい機械がないかという要望をいただいて。
当時のEX1100についていた33mハイリフト以上のものが欲しいという話でしたので、設計の石井を連れてお邪魔したのが最初です。

思い出深い納車式

会長たっての希望で40mというアーム先端高さを誇るZX1000Kを完成させ、納車した当時のことを久永氏は昨日のことのように覚えているという。
「ZX1000Kというだけあって100tあるので、重さで地面が沈むんです。そこで会長が社員のみんなに指示されて、地盤改良して硬くして、更に鉄板を敷いた駐車場に納車しました。当時の社員の方もかなり驚いていましたね。社員みんなで写真を撮ったのも覚えてます。近隣の方にもぜひ見てもらおうと紅白の垂れ幕をセッティングして展示したので、道ゆく人や車で通る人が巨大な重機が突然出現してびっくりされてました。

ZX1000Kへの想い

ZX1000Kは完成後、解体業界でのヒット商品となる。
最大のこだわりだった40mというアーム先端高さ、安全性、機敏性、その全てを形にできたことが大きかったです。はっきり言って解体業界を変えたっていうぐらいの機械だと思いますね。そこまでのプロジェクトに携われて本当にもう営業冥利に尽きます。

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